タンポポ成分を含む伝統薬がMRSA増殖を阻害する


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カナダのレジャイナ大学とファースト・ネーションズ大学の科学者とサスカチュワン州の先住民の長老たちによる研究で、タンポポ成分を含む伝統薬がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と闘う可能性を秘めていることが発表されました。

抗菌薬耐性は憂慮すべき速度で増加しており、近代医学の脅威となっています。世界保健機関が発表した緊急対応が必要な病原体リストにも含まれるMRSAは、特に病院や長期療養施設で蔓延していますが、多くの抗生物質に耐性があるため、治療が非常に困難です。

新しい抗生物質の開発がほとんど進んでいない中、研究チームは伝統的な知識に着目し、先住民の長老と協力して85種類の植物を採取し、実際の感染症に近い実験条件下でテストを行いました。

その結果、タンポポやベルガモット、ギシギシ、ガイラルディアなどの植物から抽出したエキスには、MRSAの増殖を抑制する効果が確認されました。また、キク科に属する北米原産のガムウィードは、バイオフィルムの形成を除去する作用を持つことも確認されました。同論文では、これらの植物が既存の抗生物質とは異なるメカニズムで作用する可能性があり、耐性病原体との闘いに新たな可能性をもたらすと考えられることも述べられています。


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西洋医学で十分に検討されていない民間薬や伝統薬の知識は、世界中でまだたくさんあります。今回のようなアプローチが他の病気にも拡大されれば、創薬においても大きな助けになります。

今回の研究は、エビデンスを提供するだけでなく、先住民の文化に敬意を表し、慣習を守りながら研究が進められたことにも意義があります。人々の知識を収奪するのではなく、人々の健康に寄与するという目標に向かって、伝統医学と西洋医学がよい形で協力するモデルにもなると思います。

<参照>
■Omar M. El-Halfawy et al., The antimicrobial potential of traditional remedies of Indigenous peoples from Canada against MRSA planktonic and biofilm bacteria in wound infection mimetic conditions, Microbiology Spectrum, 12 November 2024, https://doi.org/10.1128/spectrum.02341-24