前回は、不妊治療における体と心のポイントの体についてお話ししましたが、今回は心についてお話しします。
中国の妊活シーンでは「生育焦慮」という言葉がよく使われます。周囲からの圧力や年齢的な限界を感じて焦る不妊不安を意味しますが、これは中国だけのことではありません。しかし、不妊や高齢出産に対して、過度に不安を感じる必要はありません。
まずお伝えしたいのは、月経があれば妊娠の可能性があるということです。多くの方が「年齢が高いからもう産めないのではないか」「早く産まなければ」というプレッシャーを抱えておられますが、年齢というひとつの目安に惑わされるのではなく、ご自身の体の状態をきちんと把握し、自信を持って妊活に取り組んでいただきたいです。
妊活において、メンタルは大きな影響を与えます。東洋医学では、生殖は「肝」と深い関係にあると考えます。ストレスや怒りといった感情は肝に負担をかけます。肝は気の巡りや血を司るため、ストレスで気の流れが滞ると子宮や卵巣への血流が悪くなり、不妊の一因になります。
現代医学の観点からも、ストレスや不安を感じると視床下部が活性化し、心拍数上昇、血圧上昇、不眠などの身体反応が引き起こされます。これ自体は通常の反応ですが、慢性的にストレスがかかると、視床下部のコントロールが乱れてホルモン分泌のバランスが崩れ、排卵障害や着床不全を引き起こすリスクが高まります。
不妊治療を長く続けていると、妊娠できないことへの焦り自体がストレスとなり、さらに妊娠しにくい体を作るという悪循環に陥ってしまいます。この不妊のループを断ち切るために最もよいサプリメントはリラックスすることです。「結局、精神論か」と切り捨てる前に、リラックスを「パフォーマンスを最大化するためのメンテナンス」という視点からとらえてみませんか。
人間の脳は緊張状態が続くと、不安や警戒にリソースを割いてしまい、本来の思考力が低下します。リラックスすることで脳のメモリがリセットされ、的確な判断を下すスペースができ、結果的に作業効率が上がります。リラックスは、心の持ちようという曖昧なものではなく、次の一歩をより速く、正確にするための準備時間であり、戦略なのです。
「リラックス=目的達成のために自分をメンテナンスすること」と捉えるなら、妊活におけるリラックスは、やはり問題や不安を一人で抱え込まないことです。パートナーはもちろんのこと、お友だちやご家族、クリニックの方々などあなたを支えたいと思っておられる方はたくさんいます。完璧主義を捨てて、ご自身の体と心を労わる時間を持つことが、納得できる結果に到達できる近道であると思います。

