コロナ禍を経て形式張ったことが少なくなってからはお中元を贈ることも減りましたが、代わりに身近な人にパーソナルギフトとして贈る要素が強くなってきたように思います。お中元の定番と言えば、ご家族皆さまで頂ける果物や各地の名産品です。とりわけメロンは変わらず人気があります。
メロンは紀元前1550~1300年にはエジプトで栽培され、古代ローマでは種が薬とされるほど、昔から使われてきました。解毒薬や下剤、水腫、気管支炎、皮膚病、通風、腎臓病など幅広く効くとされましたが、ソバカスやシミを取り除くという美容目的でも用いられていたようです。
現在もメロンについては多くの研究がなされており、抗がん作用、抗うつ作用、疲労回復、免疫活性化などの働きがあると言われます。とりわけメロンの抗酸化作用は強力で、食品の酸化防止剤として特許が取得されています。
興味深いのは、メロンに含まれる抗酸化物質、SODは、メロンが熟す過程で果肉の中で酸化作用(老化現象)が始まると、呼応するようにSODなどの抗酸化物質が激増するということです。
私は松節を長年研究していますが、松節も松の傷を治すための治癒成分が固まったもので、それを生薬としてさまざまに利用しています。植物が自分自身を守るための成分を私たちはお借りしているのです。
メロンと言えば夕張など有名なものがたくさんありますが、兵庫県にもいなみ野メロンという自慢の一品があります。13度以上の糖度がありながらさわやかな香りがあり、上品な味わいで、地元の直売所ではすぐ売り切れてしまう人気のメロンです。機会がありましたらぜひご賞味ください。
<参照>
■森昭彦、『身近な野菜の奇妙な話』身近な野菜の奇妙な話 もとは雑草? 薬草? 不思議なルーツと驚きの活用法があふれる世界へようこそ 、SBクリエイティブ