最近は、女性だけでなく男性もセルフプロデュースとして香水を身につける方が増えてきました。
「香り」というとファッションや癒しのイメージが強いですが、近年は治療や症状緩和を目的に、科学的な研究も進められています。
鳥取大学は、高齢の認知症患者に芳香浴を行ったところ、1カ月ほどで物忘れ症状の改善が見られたことを報告していますし、他にも桜の花びらのにおいがオキシトシンの分泌を促進する、ヒノキのにおいが酸化ストレスを減少させるなどの実験データが報告されています。
今、においに大きく期待を寄せている分野のひとつはスポーツで、怪我予防や筋肉痛緩和、メンタルケアなど、効果を科学的に検証するデータ収集が進められています。
女子サッカーのなでしこジャパンがアロマを活用しているのは有名ですが、興味深いのは、なでしこジャパンの選手たちがプレッシャーで心身共に疲労を感じていたときに、ふだんは選ばないラベンダーを選んだというエピソードです。
私たちは足りないと感じるものを補うにおいを選びます。
「私の好きなにおいはこれ」と決めつけないで、その時に自分がいちばんしっくりくるにおいを体に聞けば、体調を調整する一助になります。
<参照>
■「香りという美学」、Richesse 2023/SPRING No.43、ハースト婦人画報社、2023/3/28