韓国の食品科学技術研究機関である韓国食品研究院の研究チームが、タンポポ葉が非アルコール性脂肪性肝疾患の予防および治療に有望であると報告している研究をご紹介します。
非アルコール性脂肪性肝疾患とは
肝細胞に脂肪が沈着して肝障害を引き起こす病態を脂肪性肝疾患と言います。
「非アルコール性脂肪性肝疾患」という言葉は聞き慣れない方もおられると思いますが、近年、お酒は飲まないけれども糖尿病や肥満などでアルコール性肝障害のような病態がみられ、これらを非アルコール性脂肪性肝疾患と呼びます。
アジア人は欧米人と比較して、非肥満でも罹患率、内蔵肥満、インスリン抵抗性の合併症が高いと言われています。炎症を起こすと肝硬変やがんなど全身に影響する恐れもあります。
タンポポ葉を加えた高脂肪食グループで肝臓の脂質蓄積が有意に減少
韓国食品研究院の研究チームは、通常食、高脂肪食、タンポポ葉抽出物を加えた高脂肪食をマウスに与えたところ、タンポポ葉抽出物を加えた高脂肪食を与えられたマウスは、高脂肪食だけを与えられたマウスと比較して、肝臓の脂質蓄積が有意に減少したことを報告しています。
さらに、タンポポ葉抽出物を加えた高脂肪食グループの体重と肝臓重量は、高脂肪食だけのグループよりも有意に少なく、中性脂肪、総コレステロール、インスリン、空腹時血糖値を有意に抑制したことも報告しています。
これらの結果から、タンポポ葉抽出物が非アルコール性脂肪性肝疾患の予防および治療に有望であると結論づけています。
非アルコール性脂肪性肝疾患は炎症を起こす前の対策が重要
漢方でもタンポポは肝臓や糖尿病の症状によく使われており、私自身、タンポポ葉の有効成分であるT-1を長年研究する中で、これらに関連する発表も行っています。
非アルコール性脂肪性肝疾患は侮れない病気ですが、自覚症状がほとんどないために対応が遅れがちです。健康診断で脂肪肝を指摘されたら、「お酒は飲んでいないから大丈夫」「太っていないから大丈夫」と過信せず、炎症を起こす前に運動や食事を含めて生活習慣を見直すことが大切です。きっとタンポポは大きな助けになってくれます。ぜひ活用してください。
<参照>
■Munkhtugs Davaatseren et al., Taraxacum official (dandelion) leaf extract alleviates high-fat diet-induced nonalcoholic fatty liver, Food Chem Toxicol. 2013 Aug:58:30-6. doi: 10.1016/j.fct.2013.04.023. Epub 2013 Apr 18.