松節の抗ストレス作用の可能性


Illustrated by Azat Valeev

松節は、松が傷ついた箇所の修復のために、樹皮が瘤状に増殖した部分です。

「温陽利湿」といって、体をあたためて体内の余分な水分(湿邪)を取り去る働きがあります。
東洋医学では、松節は湿邪を取り去り、経絡の流れをよくすることで痛みを取り除くと考えられているので、関節痛やリウマチ、神経痛、生理痛などの痛みを改善する漢方薬として使われてきました。利湿剤は体を冷やすものが多いですが、松の節は体をあたためて利湿するので、女性には特に適しています。

さらに、近年は松節の抗ストレス作用が注目されています。

ストレスを受けると交感神経系が活性化され、神経伝達物質が副腎髄質を刺激し、放出されたアドレナリンが免疫系を抑制します。適度なストレスは必要ですが、長期の強いストレスは体調不良につながります。

副腎髄質細胞は機能的に交感神経に似ているため、交感神経系のモデルとしてよく利用されることから、産業医科大学の研究チームは、培養ウシ副腎髄質細胞を用いて、松節のカテコールアミンの生合成と分泌に及ぼす影響について検討しました。

交感神経節や副腎髄質から分泌されるカテコールアミンにはアドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンなどが含まれ、過剰に分泌すると、重度の高血圧や過度の発汗、動悸、頭痛、パニックなどの反応が引き起こされることがあります。

同研究は、松節がアセチルコリン誘導性のカテコールアミンの分泌と合成を阻害することを示し、松節の抗ストレス作用の可能性を示唆しています。

<参照>
■Li, Xiaojia et al., Inhibitory effects of pine nodule extract and its component, SJ-2, on acetylcholine-induced catecholamine secretion and synthesis in bovine adrenal medullary cells, Journal of Pharmacological Sciences, Journal of Pharmacological Sciences 133 (4), 268-275, 2017-04