受験対策の漢方


Illustrated by さもち

受験直前の追い込みに入る時期となり、受験生がおられるご家庭では一層、健康管理に気を使われていることだと思います。中国では子どもの健康管理にも生薬がよく用いられます。子どもの臨床でよく使われる漢方薬を紹介します。

東洋医学では、子どもは体に余分な水がたまりやすいので、それが熱を生んでイライラや情緒不安定、睡眠障害になりやすいと考えます。ですから、子どもの養生の要は利水です。

落ち着きがなかったり、寝付きが悪い子には甘麦大棗湯が用いられます。ストレスでイライラや不安が続くときは柴胡が用いられます。柴胡加竜骨牡蛎湯は、竜骨や牡蛎のカルシウムと安神作⽤のある大棗のはたらきで、不安やあせりを改善します。ただ、柴胡は体を冷やすので、体をあたためる松節とあわせて使うとよいです。この組み合わせはチックや抜毛癖にも使えます。

冷えや胃腸が弱い子どもには、大建中湯と利水作用があるタンポポT-1エキスを一緒に使うとよいです。利水して体内の流れがよくなると、併用する別の漢方の力がより引き出されます。元気がなくて、時々頭痛や立ちくらみがする子どもには、胃腸を元気にするナツメと阿膠を使います。

漢方薬はその子どもの体に合っているかどうかが重要です。漢方薬を使用するときは、医師や専門家にその子どもの証に合っているか相談し、品質が保証されたものを使用してください。