Illustrated by Charles Robert Knight
この時期、花粉症に悩まされている方は多いですが、これは必ずしも人間に限った話ではないかもしれません。
マンモスが絶滅した原因は気候変動と人間による狩猟が重なったからだというのがこれまでの主な説ですが、イスラエル、イタリア、ロシアの研究チームは、花粉アレルギーによってマンモスの鼻が詰まり、嗅覚を損ねたことも一因ではないかとするおもしろい研究を発表しました。
研究チームは、冷凍マンモスの複数の組織サンプルから抗体と空気に混ざっていたと思われる花粉と一致する有機化合物を発見し、マンモスが花粉症のようなアレルギー反応を起こし、食物や水、交尾相手を見つけることが難しくなったのではないかと示唆しています。
東洋医学的に、ヒトの場合、アレルギー体質の原因のひとつは水の代謝が悪いことであると考えます。
春は雪解けにより川の水が増水し、洪水をおこすこともありますが、同様に体の中も気が流れ始め、所々で詰まりが起こります。通常、水は体内をスムーズに流れていますが、体の中で詰まるとたまった水が腐って熱を持ちます(湿熱)。湿熱を持つ方の特徴として、怒りやすい、脂性肌、のぼせやすい、すぐ汗をかくが体は冷えている、口や唇の乾燥、下痢、軟便、強い便のにおい、残尿感などがあります。湿熱が塊になって痰湿になると症状がより悪化します。
春の養生のポイントは解毒ですが、特に体内にたまった余分な水が引き金となりますので、利水が重要です。
生薬では体をあたためて湿を取る松節と利水の働きがあるタンポポT-1エキスがよいです。
タンポポの近縁種に関連する化石が約2300万~530万年前の地層から発見されているので、約1万年前に絶滅したとされるマンモスがいたころには、タンポポの祖先はすでに地球上にあったと推測されます。マンモスがタンポポをたくさん食べていたらもしかして、と想像するのも楽しいことです。
<参照>
■Gleb Zilberstein et al., Sense of smell reduction as factor for mammoth’s and other mammals extinction. Immunoglobulins as possible markers, Earth History and Biodiversity Volume 1, September 2024, 100008, Received 22 July 2024, Accepted 25 August 2024, Available online 27 August 2024