夏の和菓子の定番 葛


Photo by 涼風

夏のお土産の定番と言えば、葛菓子です。

根にデンプンが多く蓄えられるのは11~3月で、春はちまき、秋はお饅頭、冬は葛湯と年中親しまれていますが、涼しさが感じられる葛は葛水、葛切り、葛もちなど夏のお菓子としての地位を不動のものとしています。

葛は漢方でも欠かせないもので、約2000年前の『傷寒論』にも記載がある葛根湯にも使われます。

葛根湯は風邪の引き始めや肩こり、痛みや炎症を抑えるとされますが、何でもかんでも、付添の人にまで葛根湯を処方する「葛根湯医者」という落語のネタにもあるように、薬の代名詞的存在でもあります。


Photo by ムキタク

私たちの生活に深く馴染んでいる葛ですが、今、入手が困難になってきていることが懸念されています。

最高級品と言われる吉野葛の産地、奈良県吉野郡では、クズの根を掘る職人、「堀子」が高齢化などで激減していると言われます。

葛粉を得るには、掘り出した根を細かく切って水につけ、集めたデンプンを乾燥させるため、とても手間がかかります。高価なので、商品によってはサツマイモなどのデンプンが混ぜられることもあるようです。

原材料の高騰から、葛根湯の価格も上昇しています。

雑草と言われるほど旺盛に育つ葛ですが、これから2000年後も葛根湯を使い続けるためには、知識と技術の継承を含む取り組みが必要だと思います。

<参照>
■「吉野本葛」150年の職人技、神戸新聞、6/28/2023