子どものビタミンD欠乏予防には外遊びがおすすめ


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子宝相談をされている先生方は、妊娠されたら終わりではなく、出産までのフォローや産後ケア、さらには赤ちゃんの健康相談にのることも多いと思います。

近年、ビタミンD欠乏の乳児が増加しており、その予防が課題になっています。日本小児科学会が発表した「乳児期のビタミンD欠乏の予防に関する提言」では6項目が提示されていますが、特に「適度の外気浴、外遊びを行い、紫外線防止のため過度の日焼け止めの使用を行わない」ことは重要であると思います。

ビタミンDは、食事からの摂取と紫外線の作用により皮膚で生合成されることで供給されます。

安全に体を動かせる場所がない、習い事で時間がないなどで子供が外で遊ぶ時間が減っており、さらにコロナ禍で家にこもりがちな生活習慣が定着した感もあります。日光のあたる部屋であっても、ビタミンDの生合成に必要なUVBは窓ガラスを通過しないため、直接、太陽光を浴びることが必要です。

東京慈恵会医科大学病院の宮本博康先生は、健康診断を受けた5,518人のうち98%がビタミンD不足であったことを報告しています。骨粗鬆症予防などにも関連するビタミンDは、子供さんだけでなく親御さんにも重要で不足している状態です。

東洋医学の養生では、春は散歩がおすすめです。外で体を動かすと代謝が促進されます。
まずは春の陽気に誘われて近所の散歩から始めてみましょう。

<参照>
■日本小児医療保健協議会栄養委員会報告、乳児期のビタミン D 欠乏の予防に関する提言、日本小児科学会雑誌129巻3号494~496(2025年)
■Hiroyasu Miyamoto et al., Determination of a Serum 25-Hydroxyvitamin D Reference Ranges in Japanese Adults Using Fully Automated Liquid Chromatography-Tandem Mass Spectrometry, J Nutr. 2023 Apr;153(4):1253-1264. doi:10.1016/j.tjnut.2023.01.036. Epub 2023 Feb 3.