東洋医学では、春は「肝」が傷つきやすいので、肝の養生が大切だと考えます。肝は気を全身にめぐらす働きも担うので、肝が不調だと自律神経の調整がうまくいかず、こころが不安定になりやすくなります。
日本では新年度がスタートし、新しい環境で初対面の方と会う場面が多い中、過度の緊張が続いて肩こりや寝つきの悪さを感じたり、免疫力が低下してアレルギーが悪化する方もおられます。このような場合、気滞の改善も考えるとよいです。
気は物事を動かすエネルギーです。ケーキを作る時に、ボウルに小麦粉とバターと卵を入れただけでは生地はできません。よく混ぜ合わせる必要がありますが、この混ぜ合わせるエネルギーが気の働きです。
気滞、すなわち気が滞っていると血や体液の流れも悪くなり、これらが詰まって邪気が生じます。ですから気の流れを助けるものを使うとよいです。
気の流れをよくするのは香りがあるもので、例えば、利気の力がある抑肝散と生薬の松節を一緒に使うとよいです。香りがある松節は「温陽活血」といって体を温めて血の流れをよくする働きがあり、肝鬱気滞証の改善によく使われます。
なお、漢方薬はそれぞれの体に合わせて使うことが大事ですから、使用の際には必ず専門家にご相談ください。