腎臓と老化の深い関係


Illustrated by いらすとや

第8回統合医療生殖学会において、メディアにも多数ご出演されている自治医科大学の黒尾誠教授に「リンと老化の深い関係 ~基礎研究から社会実装への歩み~」と題してご講演いただきました。

一般的には、腎臓は尿を作る臓器という程度の認識でしょうし、リンについてもほとんど知られていない存在かと思います。しかし、その腎臓とリンが、実は老化や寿命のカギを握っているということについて詳しくお話しいただき、腎臓やリンに対する認識が大きく変わりました。

腎臓には体内に入ってくるミネラル成分を常に一定量に保つための管理・調整機能があります。黒尾先生は、ネフロンの減少にはリンが大きく関わっていることを指摘し、食品添加物に多く含まれる無機リンをできるだけ避け、不要なものを排泄する腎臓の力を衰えさせないことの重要性を提唱されています。


Photo by マロンマロン

尿による排泄は、東洋医学で重視されている「解毒」において大きな役割を担っています。古今東西で、利尿目的で使われてきたのがタンポポです。私は研究でタンポポの葉から抽出したT-1という物質が毛細血管を拡張し、血流循環を改善することを確認しています。これは毛細血管の塊ともいえる腎臓の働きを大いに助けます。

腎臓を守るには、早期に不調を発見し、症状が進行しないようにすることが重要です。血液をろ過し、ホルモンを分泌する腎臓が悪くなると、心臓病や脳梗塞、老化など全身の臓器にも悪影響が及びます。言い換えれば、腎臓を守ることが体全体の養生につながります。

無機リンを意識して体に入れないようにする、利尿を助けるタンポポなどを活用するなど、ふだんから解毒の習慣を取り入れ、早期発見のために定期的に健康診断を受けることが腎臓を守ることにつながります。