運気論に基づくと、今年の五の気(2025年9月23日~11月22日)は客気が太陰湿土で湿気が比較的強いため、利湿がポイントになります。「五の気の養生法」において、肺の痰を取る大根や白菜、ネギ、そして湿を飛ばす温灸とおすすめのツボをご紹介しました。ただ、主気は陽明燥金であるため、乾燥も顕著なので、乾燥と湿気の両方を考慮しなければならないというなかなか厄介な状況です。10月上旬までは温燥(温かい乾燥) が多いですが、以降は涼燥(涼しい乾燥) が徐々に到来します。滋陰潤燥(陰を補い乾燥を潤す)が必要です。
滋陰潤燥の生薬には杏仁や麦門冬がありますが、なじみがないので一般の方には使いにくいです。ここでおすすめなのは、ナガイモです。ナガイモは生薬では山薬と呼ばれ、滋養強壮や消化促進の目的で用いられます。
ナガイモは陰を補いながら乾燥を潤す食材としてとてもよいです。東洋医学では、ナガイモは消化吸収を司る「脾」、体内の水分代謝と呼吸を司る「肺」、そして生命エネルギーを蓄える「腎」を補うとされます。消化吸収の脾胃の働きを助けることで気血を補い、陰を養います。西洋医学的には、ナガイモに含まれる消化酵素がデンプンの消化を助け、効率よく栄養が吸収されます。
また、ナガイモのネバネバは多糖類とタンパク質が結合したものです。多糖類は高い保水力を持ち、保湿成分として化粧品や医薬品など幅広く利用されています。ネバネバ成分が粘膜を潤し、鼻やのどの粘膜のバリア機能を助け、ウイルスや細菌の侵入を防ぐことで免疫力をサポートします。
先に公開したYouTubeでは運気論に基づいた秋の養生についてお話ししています。
ぜひあわせてご覧ください。


