不妊治療は身体的・精神的・経済的に大きな負担がかかり、「終わりが見えないトンネル」とも言われます。経済的負担については、保険適応や各自治体の補助で改善されてきたところもありますが、身体的・精神的負担についてはまだまだ大きいのが実情です。個人差が大きいので一概に言うことはできませんが、不妊治療における体と心のポイントについて、2回に分けて、今回は体についてお話しします。
妊活、特に高齢での妊活で大切なことは、高度生殖医療であってもクリニックに任せきりにするのではなく、ご自身で卵子を育む体作りを並行させることです。
なぜ体質の改善が必要なのかというと、妊活では卵子の質に注目が集まりがちですが、畑が荒れていれば、どんなに良い種を植えても育ちにくいように、体がしっかりしていないとよい受精卵を移植しても育つことはむずかしいからです。
年齢を重ねると、血流の低下や代謝の衰えが起こりやすくなります。日々の養生を通して血の巡りやホルモンバランスを整えることで卵子の質を維持し、着床しやすい体を作っていかないと、いたずらに治療回数だけを重ねることになりかねません。
その時に大切なのは、偏った情報に振り回されないということです。例えば、中国ではしばしば「卵胞の発育や子宮内膜の状態を整えるために、大豆をたくさん食べましょう」と言われます。確かに大豆に含まれるイソフラボンは体内でエストロゲンに似た働きをしますが、排卵後の体に求められるのは、プロゲステロンとのバランスです。「○○さえ食べれば着床しやすくなる」と言われるものに飛びつくのではなく、全体の栄養バランスを整えることが大切です。
妊活においては、焦りや偏った知識をリセットして、バランスのよい食事とリラックスした精神状態を維持することが、実は健康な妊娠への近道です。

