オイルは冷暗所に保存


Illustrated by さっちゃん

結論から言うと、「オイルは冷暗所に保存してください」ということです。

以下は以前、大月純子先生に子宝カウンセラーの会で講義をしていただいた際にお話しいただいたことです。不妊治療において胚培養をする時、ミネラルオイルでカバーしますが、メーカー保証オイルを使っているのに胚が死滅してしまう事例が日本を含む各国で起こったことがありました。

大月先生が分析したところ、胚発生に問題がないミネラルオイルの過酸化物価(POV)値は0.00meq/kgであるのに対し、胚が死滅したオイルのPOV値は2.97meq/kgと高く、肺が死滅した原因はミネラルオイルの過酸化であることがわかりました。実験で日光とUVライトに曝したミネラルオイルのPOV値が経時的に著しく上昇したことから、輸送時、または長期保存中に日光などの光による影響を受けてオイルが過酸化した可能性が濃厚とのことでした。

マウスの卵を用いた実験において、POV値が0.1meq/kgを境に胚盤胞発生率が顕著に低下するとのことですが、食品のPOV基準では10未満で「ほとんど酸化していない」と定義されているのが現状です。

その時、大月先生はふだん使用している油についても調べられ、M家の油のPOVは14.0、T家の油は0.8だったことについて、「T家は油を引き戸の中で保存していたので遮光になっていたので低い値を保ち続けたと思う」と言われていました。油で揚げてあるお菓子やインスタントラーメンも古いものは活性酸素が影響するので注意が必要で、窓側に置いておいた化粧品のオイルもPOV値は高値だったとのことです。

油を光に当てずに保存するということは簡単にできることなので、見直してみてはいかがでしょうか。

<参照>
■大月純子、体外受精・胚培養に用いるミネラルオイルの精度管理、J.Mamm.Ova Res. Vol.24, 175-176, 2007