23日には、はや秋分を迎えます。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、ようやく暑さからも解放されそうです。
店頭でよくおはぎを見かけるようになるのも、この頃の楽しみのひとつです。
ちなみに、春分の日にはぼた餅を食べますが、春はボタンが咲くので「ぼた餅」、秋は萩が咲くので「おはぎ」と呼ばれます。
小豆は、古くは『神農本草経』に「水腫を下し膿を排す」と記載されているように、便と尿の出を促す作用があります。
秋に収穫される小豆は、暑さ疲れで体がむくみやすい今の時期にうってつけの食材で、本当に自然の摂理はうまくできていると思います。
鉄分が豊富に含まれるので、貧血予防にもよいです。昔は初潮を迎えたお祝いに赤飯を炊きましたが、その意味も含まれていたのかもしれません。
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小豆は縄文時代から食べられてきたなじみのある食材であるのに対し、砂糖は超がつくほどの貴重品でした。
光明皇后が献納した『種々薬帳』と呼ばれる薬草の目録に、蔗糖が麝香や犀角などと共に記されていることからも、高価な薬として使われていたことがわかります。
江戸時代に砂糖栽培が奨励されて生産量が増えるまで、砂糖を使うおはぎは贅沢なものとされていました。
今でこそ気軽に食べられるおはぎですが、季節の区切りをつける大切な一品として味わっていただけたらと思います。