妊娠初期の貧血は子の心疾患リスクを高める


Illustrated by 松本 松子

妊娠初期の貧血は子の先天性心疾患リスクを高めるという論文を英国オックスフォード大学の研究チームが発表しました。

研究チームが心臓に欠陥のある子どもが生まれた英国人女性約2800人と、子どもが健康に生まれた女性約14000人の医療記録を調査したところ、後者に比べて前者は新生児の心臓欠陥のリスクが47%増加することが示され、これまでの同様の3つの研究結果と一致する結果となりました。

研究者らによると、妊娠中の貧血症例の約3分の2は鉄欠乏症が原因ということで、同チームのダンカン・スパロウ准教授は「妊活中と妊娠中に鉄分補給を行えば、多くの新生児の先天性心疾患を予防できる可能性がある」と述べています。

貧血の原因は多様ですが、妊娠中に特に多く見られるものに鉄欠乏性貧血、葉酸欠乏症貧血、ビタミンB12欠乏症貧血があります。バイエル薬品の2022年の調査によると、全妊娠期を通じた妊婦さんの鉄の不足率は97.8%、そして葉酸の不足率は87.1%でした。


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漢方において、鉄と葉酸を補う第一選択肢はナツメです。

中国では、貧血予防のために、日常生活でナツメがよく用いられます。ナツメには鉄と葉酸が豊富に含まれ、東洋医学では補血と健脾の働きがあるとされます。胃腸の働きを助けて食べ物の力を充分に体に取り込み、気血を増やします。

漢方ではナツメと阿膠(あきょう:ロバの皮のコラーゲン)の処方は「鉄が多く含まれる」「体を温める」「体力をつける」ことから、中国では昔から「女性の宝」と言われてきました。

母子双方の養生のために、ぜひナツメを役立ててください。

<参照>
■Dennis Thompson, Anemia In Pregnancy Increases Risk Of Heart Defects, Health Day, Apr 24, 2025
■バイエル薬品株式会社・一般社団法人ラブテリ、「コロナ禍妊婦栄養研究」、2022年