2025年は6月21日に二十四節気の夏至を迎えます。太陽が一年で最も高い位置に昇り、北半球では日照時間が最も長くなります。既に梅雨の時期とは思えないくらい晴天で、猛烈な暑さが続いていますが、いよいよ本格的な夏が到来します。
お店の入り口に「冷やし中華始めました」の言葉を見ると夏が来たなと思いますが、中国では、夏至に冷やしうどんがよく食べられます。北京の冷麺は天下無比と言われるほどの名物なので、召し上がったことがある方も多いのではないでしょうか。古くは唐の詩人、杜甫が「歯ざわりは雪よりも冷たく、勧められた人も思いがけないご馳走に驚くだろう」と詠んでいます。
のどごしがよい冷たいうどんは暑さや湿気で欲がないときでも食べやすく、消化もよいのでおなかへの負担も少ないです。卵や納豆、オクラ、ワカメなど冷蔵庫にあるものと相性がよく、栄養バランスの工夫がしやすいです。シンプルにつゆだけで食べても出汁のうまみが味わえますし、最近は食べ応えのあるサラダうどんも人気です。
中国では夏至のころに山桃を入れた氷菓や蓮の実のデザートなども食べられますが、一方で冬瓜や緑豆、ゴーヤの温かいスープで水分を補い、利尿を促します。暑さに負けて冷たいものばかりにならないように、あたたかいものも上手に組み合わせて夏の胃腸を守りましょう。
<参照>
■王仁湘(著) 鈴木博(翻訳)、『図説中国食の文化誌』、原書房