子宮内低栄養が仔マウスの精巣性発育不全症候群を引き起こす


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浜松医科大学の緒方勤教授の研究チームは、子宮内低栄養にさらされた仔マウスは精巣性発育不全症候群を引き起こすことを報告しました。

妊娠6.5日目から栄養を半分に減らしたマウスと、通常食を与えたマウスの雄の仔を比較したところ、栄養を減らしたマウスの仔はステロイドホルモン産生酵素遺伝子の発現量と精巣内テストステロン濃度が有意に低下していました。

また、生後6週の時点で、栄養を半分に減らしたマウスの仔の精巣上体内の精子数が有意に減少していました。

同チームは「精巣性発育不全症候群がDOHaD仮説に含まれることが示された」と結論づけています。

近年、2500グラム未満の低出生体重児が毎年、約10万人誕生しています。
日本人女性は痩せ願望が強く、「小さく生んで大きく育てる」という言葉が広く根付いていることもありますが、子宮内低栄養という観点から見ると、見過ごせない状況であると思います。

DOHaD仮説とは、母体環境によって胎児の遺伝子の表現形が修飾され、その後の疾病リスクに関与するというものです。
妊娠前から妊娠中、授乳期間中に、エネルギーや栄養素を適切に摂取することで病気を予防できる可能性があるということで、注目されています。

DOHaD仮説については、2018年12月に開催された子宝カウンセラーの会で、英ウィメンズクリニック女性医学部門長である十倉陽子先生にご講演いただいています。

一般的には「栄養バランスは大事です」で終わることかもしれませんが、子宝カウンセラーの会の先生方は、その言葉の後ろに、根拠となるものを持って話しておられますし、やはり専門家を名乗るのであれば必要な姿勢であると思います。

子宝カウンセラーの会の先生方は、現状に満足することなく、アップデートを重ねてよりよいものを提供しようと努められています。

<参照>
■Tsutomu Ogata et al., Intrauterine Hyponutrition Reduces Fetal Testosterone Production and Postnatal Sperm Count in the Mouse, Journal of the Endocrine Society, Volume 6, Issue 4, April 2022, bvac022,  https://doi.org/10.1210/jendso/bvac022, Published: 15 February 2022 Article history
■英ウィメンズクリニック 十倉陽子、「当院で取り扱っているサプリメント」、子宝カウンセラーの会、2018年12月