しばしば「ストレスがあるとよい卵子ができない」と言われますが、なぜこのように言われるのかというと、排卵の指令を出すのは脳であるからです。
ホルモンのバランスをコントロールしているのは、視床下部と呼ばれるところです。視床下部から分泌されるGn-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンは、脳下垂体にFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体刺激ホルモン)というホルモンを分泌するよう指令を送ります。
FSHが分泌されると卵巣内の未熟な卵子のいくつかが育ち始め、一番大きくなった成熟した卵胞が子宮内膜を増殖させるエストロゲンを分泌します。排卵が近づくとエストロゲンの分泌が増え、充分に増えると脳はそれを感知して、脳下垂体に排卵を促すLHを分泌するよう指令を出します。
FSHとLHの分泌はバランスが大事で、多すぎても少なすぎてもよくありません。ストレスがかかると脳の大脳皮質で感知され、怒りに対してはノルアドレナリン、おそれや驚きに対してはアドレナリンなどの神経伝達物質が分泌され、その情報に従って体が調整されますが、ストレスで脳がうまく指令を出すことができなくなり、体の不調を引き起こしてしまうことがあります。
妊活をされている方はさまざまな制約の中でほんとうに一生懸命に取り組んでおられます。しかし、赤ちゃんを迎える体づくりは一朝一夕にできるものではありません。根を詰めすぎず、妊活が強すぎるストレスや慢性的なストレスにならないようにうまくつきあっていく術を工夫してみてください。結果的に体にもよい影響を及ぼすと思います。
<参照>
■邵輝 塩谷雅英、『赤ちゃんを授かりました! 無理せず妊娠力をアップする不妊克服ガイド』、東邦出版