【BOOK】『不妊治療を考えたら読む本〈最新版〉』

Illustrated by Visual Generation

「最も妊娠しやすい日は排卵日ではありません」

と言われたら、「ええっ!」と驚かれる方は少なくないのではないでしょうか。

ロングセラー『不妊治療を考えたら読む本』が改訂され、「最新版」が出版されましたのでご紹介します。

一般的に、排卵日がいちばん妊娠しやすいと思われていますが、同書で引用されている2002年の研究報告によると、妊娠に至った性行為の多くが排卵日の5日前から排卵日までに行われたものであり、いちばん妊娠率が高かったのは、排卵日の2日前でした。

排卵日を推定するために、基礎体温表をつけたり市販の排卵検査薬を使っておられる方は多いですが、基礎体温の計測は自分の体の状態を把握する目安になりますが、教科書通りのグラフであっても排卵していないことがあったり、体温が下がった日と排卵日がずれることもあります。

また、市販の排卵検査薬はLHサージに反応します。LHが出始めるのは排卵の40時間前後と言われていますから、実際はもっとたくさんチャンスがあるのに、それらを逃しかねません。

タイミングを推定するなら、医師による超音波検査がいちばん正確です。

とはいえ、指定された日に性行為を求められることにプレッシャーを感じるなという方が無理な話です。

妊娠可能かもしれない1週間をおおまかに把握して、3~5日間隔で性行為があれば、精子は3~5日は生きていますから、精子が卵管で卵子を待っている状態になります。

最新版では「保険診療か自費診療かを選ぶ際のポイント」「医師から自費診療を勧められたけど、その真意は」など保険適用にもふれられています。
子どもを持ちたいと思う方に参考になる一冊であると思います。

<参照>
■浅田義正 河合蘭、『不妊治療を考えたら読む本〈最新版〉 科学でわかる「妊娠への近道」』 、講談社 ブルーバックス新書