ネイチャーの「今年の10人」に阪大の林克彦教授が選出

Illustrated by Anusorn

英科学誌ネイチャーの「今年の10人」に大阪大学の林克彦教授が選ばれました。
林教授は雄マウス由来のiPS細胞から卵子を作成することに成功したことでの選出です。

ネイチャーは「この生物学者は有性生殖に関する規則を書き換えた。(彼の研究は)絶滅の危機に瀕している種を救うのに役立つ可能性がある偉業である」と評価しています。

林教授の研究チームは、作成した卵子を受精させた胚を雌のマウスに移植し、仔も生まれています。

630 回の胚移植から得られた生きた仔はわずか7匹でしたが、多くの研究者がほぼ不可能だと考えていたことを達成したことに賞賛が集まっています。

iPS細胞を用いた研究については、着床前後の過程を世界で初めて再現した京都大学の高島康弘准教授らの研究チームの論文が同じくネイチャーに発表されました。

iPS細胞などから作成した胚モデルは試験管内で体系的に研究することが可能で、不妊症や妊娠初期の胎児に先天異常が起きる仕組みの解明などにつながることが期待されています。

<参照>
Nature’s 10 Ten people (and one non-human) who helped shape science in 2023, nature, 13 DECEMBER 2023
■Heidi Ledford, Making mice with two dads: this biologist rewrote the rules on sexual reproduction, nature, 13 December 2023
ヒト受精卵の成長を再現 京都大、iPSなど万能細胞で、日本経済新聞、2023年12月5日