毎年6月は世界不妊啓発月間です。期間中は各地でさまざまな催しが行われ、6月15日には皇居外苑にて、不妊治療患者のセルフサポートグループ、NPO法人Fineによるウォーキングイベントが開催されます。
去年は衆議院議員の野田聖子さんによる基調講演や、企業のCEOや人事責任者によるパネルディスカッションが開催されましたが、今年のウォーキングイベントという企画はとてもよいと思います。
私は不妊症の患者さんにふだんからウォーキングを勧めています。
第一に、適度な負荷をかけることで体の生存力を活性化することができるからです。妊活は自分の生活を見直して体を作り上げていくことです。ウォーキングで筋肉の代謝が上がり、全身の血行がよくなるので、さまざまな病気の予防になります。また、アイオワ大学の研究チームは、妊娠前の運動レベルが高い女性は、低い女性に比べて妊娠糖尿病を発症するリスクが21パーセント低いことを報告し、健康維持のためにおよそ週に5日間、1日あたり30 分の早足のウォーキングを推奨しています。
第二に、不妊治療は精神的に大きな負担がかかりますが、ウォーキングはメンタルへの悪影響を軽減することができるからです。
ドイツの研究チームは、自宅から100メートル以内に存在する街路樹が多いほど抗うつ剤が処方される可能性と量が低下することから、街路樹にうつ病抑止効果の可能性があると発表しました。公園や街路樹、お花を育てておられるおうちなど、近所の小さな緑をたくさん見つけるのも楽しそうです。
アップルのスティーブ・ジョブズさんはウォーキング・ミーティングを好んで行ったといわれますが、歩くことで脳が活性化され、クリエイティブな発想が生まれやすくなります。
歩きながらいろいろな方とざっくばらんに話すことでよいアイディアが生まれて、いい気分転換になると思います。
梅雨のさなかではありますが、当日はどうぞ晴天に恵まれますように。
<参照>
■特定非営利活動法人Fine、啓発イベント『世界不妊啓発月間2025~不妊・不育症への理解を広げ、誰もが選択できる未来へ~』を開催、PR TIMES、2025年5月28日