健康志向の注目食材


Photo by 農林水産省ウェブサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/43_10_yamaguchi.html)

米の価格高騰が連日報道され、テレビではいろいろな節約術が紹介されています。

今でこそ当たり前に食べられている米ですが、米は長らく貴重品で、庶民が米を食べられるようになったのは一般的には20世紀に入ってからと考えられています。

貴重な米を節約するために、豆や雑穀、根菜を混ぜてごはんを炊くなどの工夫がされ、おからやおからを米に混ぜたものでにぎったおすしが各地に郷土料理として伝わっています。そのひとつが山口県の唐ずしです。甘酢で炒っておの実(麻の実)を入れたおからに酢でしめたイワシを巻いて、毒消しの笹の葉に盛りつけます。

おからは、豆腐を作る過程で豆乳を絞ったあとに残るもので、健康志向の高まりとともに注目が高まっています。食物繊維が豊富で、腸内環境の改善や便秘の予防など、おなかの調子を整えます。低カロリーでありながらタンパク質やカルシウム、カリウムなどの栄養素が含まれるのも魅力で、食物繊維やタンパク質は豆乳よりも多く含まれています。


Phto by さらしあん

素材を無駄なく利用する京都の総菜では、おからの炊いたんがよく作られます。おからを炊くことを「炒る」とも言いますが、ものが「入る」と同じ音なので、商売をしている店では縁起がよい料理とされていたそうです。

おからはお好み焼きやハンバーグのタネに混ぜることもできますし、クッキーやドーナツなどお菓子にも使うことができます。小麦粉の分量の半分をおからに置き換えることで糖質制限になり、腹持ちがいいので食べた満足感があります。

米をはじめとした食料品の値上げラッシュは悩ましいですが、素材を無駄にせずに料理をする知恵はたくさん受け継がれています。安くて栄養価も高い旬の食材とともに活用していきましょう。

<資料>
うの花きずし/唐ずし 山口県、農林水産省