「永久に残る化学物質」PFAS


Photo by Kazutrip

近年、健康や環境に影響を及ぼす化学物質としてPFASに関連する報道が増えています。

PFASはフッ素系化学物質の総称で、水や油、熱に強く、光を吸収しない等の特性があるので、1940年代頃から電子機器や車、消火剤などの産業製品だけでなく、調理器具やカーペット、食品の包装や容器などに広く使われてきました。

使い勝手のよいPFASですが、一方で「永久に残る化学物質」とも呼ばれるように分解されにくく、環境や体内に蓄積されやすい性質があります。そして、発達障害や慢性疾患を引き起こす可能性があることから毒性があるとされ、2021年になって懸念されるような研究が発表されています。

インディアナ大学ブルーミントン校の研究グループは、調査対象の50の母乳から飲料水の安全基準をはるかに超えるレベルのPFASが検出されたと報告しています。

また、ノートルダム大学の研究グループは、よく使われている230以上の化粧品のうち、ファンデーションの56%、口紅の48%、マスカラの47%からPFASが検出されたことを報告しています。

欧米ではアスベストやダイオキシンに次ぐ環境の重大課題としてPFASの規制が進められていますが、消費者からの懸念を受けて、マクドナルドは2025年までに全ての包装や容器からPFASを全廃すると発表し、アマゾンも自社ブランドの食品製品において同様の決定をしています。

現代に生きる私たちは、これらの化学物質から完全に逃れて生活することは不可能です。だからこそ、少しでも解毒を意識した生活習慣をし続けることは、数年後、数十年後に大きな意味を持つと思います。

<参照>
■Amina Salamova et al., Per- and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS) in Breast Milk: Concerning Trends for Current-Use PFAS, Cite this: Environ. Sci. Technol. 2021, 55, 11, 7510–7520, Publication Date:May 13, 2021, https://doi.org/10.1021/acs.est.0c06978, Copyright © 2021 American Chemical Society
■Graham F. Peaslee et al., Fluorinated Compounds in North American Cosmetics, Cite this: Environ. Sci. Technol. Lett. 2021, 8, 7, 538–544, Publication Date:June 15, 2021, https://doi.org/10.1021/acs.estlett.1c00240, Copyright © 2021 The Authors. Published by American Chemical Society
■Matthew Daly, Half Of US Cosmetics Contain Toxic Chemicals, VOA, August 09, 2021
■夫馬賢治、【環境】化学物質PFASとは何か? 〜マクドナルドやアマゾンが使用禁止を決めた背景やPFOAとの違い〜、Sustainable Japan、2021/01/17

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