新型コロナ感染が長期的に男性不妊に影響を及ぼす可能性

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2023年の欧州ヒト生殖医学会において、スペインの研究チームが、軽度であっても新型コロナウイルス感染は数カ月にわたる精子の減少を引き起こす可能性を発表しました。

同チームは、2020年2月から2022年10月まで、軽度の新型コロナウイルス感染症と確定診断された平均年齢31歳の男性45人を対象に、感染後100日までと100日以上後に採取された精液サンプルを、感染前に採取されたサンプルと分析しました。

その結果、平均100日後、精液量は20%、精子数は37.5%、前に進んで泳ぐ運動性は9%、生きている精子の数は5%、それぞれ減少したことがわかりました。

精子の形状に大きな影響はありませんでしたが、運動性と総精子数が最も深刻な影響を受けました。

新しい精子が作られるまでに約78日かかるため、回復して3カ月後には精液の質は改善されるだろうと同チームは予想していましたが、実際はそうではなく、この低下がどのくらいの期間続くのか、それとも永続的なものなのかは、まだわかっていません。

同チームのロシオ・ヌニェス・カロンジェさんは「新型コロナウイルスが(精液指標悪化の)直接的な原因となっているとは限らない」としながらも、「軽症であっても、COVID-19罹患が男性の生殖機能に与える悪影響について臨床医は認識しておくべきだ」との見解を示しています。

妊活を視野に入れているカップルは、たとえ軽度であっても新型コロナウイルス感染症に感染したことがあれば、精液検査を受けられることをおすすめします。

<参照>
■Cara Murez, COVID Could Harm Men’s Sperm Months After Infection, HealthDay, Published on June 27, 2023