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9月は厚生労働省が定める「職場の健康診断実施強化月間」です。健康診断で気にされる数値は人によってそれぞれだと思いますが、ぜひ確認してほしいのが腎臓の状態です。
血液をろ過するための構造体であるネフロンは年齢や生活習慣によって減少し、それに比例して腎機能も低下していきます。初期段階であれば生活習慣の改善で対応も可能ですが、気づかないまま症状が悪化し、健康診断で指摘されてはじめて症状がかなり進んでいたことがわかることも珍しくありません。
自治医科大学の黒尾誠教授は、ネフロンの減少にはリンが大きく関わっていることを指摘しています。リンは骨の形成をはじめ、生き物が生存するうえで欠かせない物質ですが、加工食品やスナック菓子を日常的に食べていると過剰に摂取してしまいます。
黒尾教授は食品添加物に多く含まれ、体内への吸収率が高い無機リンをできるだけ避けることをすすめています。とはいえ、リンは無味無臭で気づくことができず、非常に多くの食品に添加物が加えられているので、現代社会で完全に避けることは不可能です。ですから、黒尾教授は口から入る無用なものをできるだけ減らし、並行して「不要なものを排泄する腎臓の力」を衰えさせないことが大切だと言います。
私もタンポポの解毒力を研究するなかで、長年、同じことを繰り返し皆さんに伝えてきました。タンポポは世界各地で利尿目的で使われるように、「出す力」をサポートする働きがあります。血液をろ過し、ホルモンを分泌する腎臓が悪くなると、心臓病や脳梗塞、老化など全身に悪影響を及ぼします。タンポポに限らず、解毒の働きがあるものを活用することは腎臓を守り、体全体の養生につながります。
日本では成人の5人に1人が慢性腎臓病と言われます。健康診断で腎臓病の徴候を指摘された場合、腎臓内科、または内科を受診し、早めに対策を取ることをおすすめします。
<参照>
■『間違いだらけの肝臓・腎臓』(プレジデント2025年5/2号)、プレジデント社

