松の節のはたらき


Photo by クローバーうさぎ

七十二候では敷松葉のころとなりました。

庭の苔などを霜から守るために松の落ち葉を敷き詰めることを敷松葉といいますが、侘びの美しさを演出するためにも用いられます。

枯れてもなお、使い道がある松は、中国では古代からさまざまな用途に使われてきました。
漢方薬としてよく使われるのは松の節です。

松の節は、傷ついた箇所の修復のために、樹皮が瘤状に増殖した部分です。
「温陽利湿」といって体をあたためて体内の余分な水分(湿邪)を取り去る働きがあります。
利湿剤は体を冷やすものが多いですが、松の節は体をあたためて利湿できるのが特徴です。

川の流れが悪くなるとゴミがたまって水がよどむように、体の中も経絡の流れが悪くなるとゴミがたまって痛みを引き起こします。
東洋医学では、松節は湿邪を取り去り、経絡の流れをよくすることで痛みを取り除くと考えられているので、関節痛や神経痛、生理痛などを改善する漢方薬として使われてきました。

松節については、昔からの臨床経験に加え、実験データも次々と発表されています。
近年、フランスでは松の樹皮がアンチエイジングのサプリメントとして人気で、世界的に松への注目が高まってきているのを感じます。

子授けの観音さまがおられる中山寺には、生命力にあふれた素晴らしい松があります。YouTubeでご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。