Primavera, de Sandro Botticelli
誰もが一度は目にしたことのある名画、ボッティチェリの『プリマヴェーラ(春)』です。
この絵は1482年頃、メディチ家のロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・デ・メディチの結婚祝いに描かれたと言われています。
真ん中の人物はヴィーナスですが、ヴィーナスのおなかがふっくらしているのは、一説には結婚に際して子宝祈願の意が込められていると言われます。
春は妊娠しやすい季節と言われますが、あながち的外れではなくて、厚生労働省の統計によると、戦前は1月から3月の出産が多いです。
すなわち、4月から6月頃に妊娠する方が多かったということです。
今は季節に関係なく快適に過ごすことができますが、一昔前は、やはり夏は暑く、冬は寒いので体力を消耗します。
春は寒さもゆるみ、過ごしやすい日が多いので、妊娠に適していたのではないでしょうか。
ちなみに、ヴィーナスの後ろの木になっているのは、メディチ家の象徴のオレンジです。
メディチの家名はメディシン、すなわち「薬」や「医者」を意味し、紋章に使われる赤い玉は丸薬を表すと言われます。
その赤い玉がオレンジに似ているということで、オレンジがメディチ家の象徴となっています。
なじみのある職業だけに、この絵にも一層、親しみを感じます。
<参照>
■月別にみた出生率、厚生労働省
■春秋、日本経済新聞、2017年11月11日